タイ税務改正動向:国際ビジネスセンター(IBC)に対する税務恩典の適用要件
タイ税務改正動向:国際ビジネスセンター(IBC)に対する税務恩典の適用要件
詳細は下記の通りです。
1) 法人税に対する恩典
- 恩典の対象となる事業
- 関連会社向けのマネジメント・技術支援・管理業務代行等の統括/サポートサービス
- キャッシュマネジメント(資金管理)サービス関連会社への資金融通目的でのグループ外からの一括資金調達、関連会社への貸付管理、資金調達に関する契約管理、資金リスクマネージメント等
- 国際貿易取引関連サービス
商品の配送・保管、在庫管理、注文受付業務、その他国際貿易取引に関するコンサルティングサービス 等(但し当該事業への税務恩典は駐在員の個人所得税優遇のみ。)
- 恩典申請のための歳入局への書類提出
- 恩典を利用する事業概要説明書
- 事業計画書
- 国内外の関連会社の詳細情報
- 個人所得税の恩典を適用する駐在員の詳細
- 恩典適用期間
- 歳入局より恩典が付与された日以降の事業収益等が対象となります。年度内でも恩典付与以前の事業収益は対象となりません。
- 恩典対象事業の変更
- 恩典対象となる事業の追加、削除があった場合は、歳入局の定める手続きに従い
申請を行うことが可能です。
- 恩典対象となる事業の追加、削除があった場合は、歳入局の定める手続きに従い
- 恩典対象事業の法人税算出のための純損益の計算方法
- 恩典対象となる事業の純損益は、通常の企業と同様に、歳入法65条の1及び65条の2に従い計算すること。
- もし会社がIBC以外の事業も行う場合、それぞれの損益計算を分けること。費用を明確に区分できない場合には、収入額で比率按分すること。また一方の純損失を 他方の事業の利益と相殺することは出来ない。
- もし会社が1)管理・技術・サポート・キャッシュマネジメントサービス収入と、2)ロイヤリティ収入を有する場合、1)、2)それぞれの損益計算を分けること。費用を明確に区分できない場合には、収入額で比率按分すること。一方の純損失を他方の事業の利益と相殺することは出来ない。
- その他条件
- 期末から150日以内に確定法人税申告書、貸借対照表、損益計算書を提出すること
- 確定法人税申告書には歳入局発行のIBC恩典付与通知を添付して提出すること
- 中間法人税申告を半期末から2か月以内に提出すること
- 会社がIBC以外の事業も行う場合、税務申告の際にそれぞれの損益計算書を添付すること(貸借対照表は合算で提出可能。また納税者IDは同じものを使用すること
2) 駐在員給与に関わる源泉税、及び個人所得税への優遇
会社はIBC事業に従事する駐在員への給与に係る源泉徴収税は15%固定レートを適用することが出来ます。また、駐在員は当該給与に係る所得税について、源泉分離課税方式を適用することが可能で、その場合はIBC事業からの給与所得は個人所得税の確定申告時の課税所得から除外することができます。個人所得税の優遇適用条件は下記の通りです。
- 駐在員と会社はRoyal Decree No.674に既定する条件を満たす期限の無い雇用関係にあること。
- 駐在員がIBC事業またはITC(国際貿易)事業に従事していること。他の事業にも従事している場合には、IBC事業またはITC(国際貿易)事業が会社の売上の70%以上を占めること。
- 当該駐在員に関して、個人所得税優遇を利用する申請書を提出していること。
- 駐在員は、タイ在住の初年度と最終年度を除き、年間180日以上タイ国内に滞在すること。
- 駐在員が、「skilled person」または「expert」として労務省よりワークパーミットを取得している、又はBOI恩典によるワークパーミットを取得していること。
- 駐在員に対するIBC事業からの給与が月額200,000バーツ以上あること(課税年度のタイ国内に滞在する月数を基準に計算)
3) 駐在員給与に関わる源泉税、及び個人所得税への優遇ROH/IHQ税務恩典からIBC税務恩典への移行
2019年3月、歳入局より関連会社統括拠点に対する歳入局からの税務優遇として従前より存在していたROH(地域事業本部))事業・IHQ(国際地域統括本部)事業・ITC(国際貿易センター)事業に対する税務恩典を終了する通達を発表しました。法人税に対する恩典は2019年5月に、個人所得税に対する恩典は2019年12月をもって終了します。
しかしながら、一定の条件を満たした上で申請することにより、ROH/IHQ税務恩典からIBC税務恩典へ移行することが可能となります。主な条件は、当該ROH/IHQ事業の内、IBCの要件も満たす事業からの営業支出が15百万バーツ以上、又は営業支出とその他支出の合計が60百万バーツ以上であること、その他Royal Decree No.674に定めるIBC事業の要件を満たすことが必要とされます。
(2019年6月作成)
免責事項
本記事は、作成日時点でのタイの法律等改正動向や一般的な解釈に関する情報提供を目的としております。内容については、正確性を期しておりますが、正確性を保証するものではなく、また作成後の法律改正等により最新の情報でない場合もあります。本記事の利用は、利用者の自身の判断責任となり、利用により生じたいかなるトラブルおよび損失、損害に対してMazarsは一切責任を負いません。個別の具体的な案件を進める場合には、事前に専門家へご相談頂きます様、お願い申し上げます。