税務論点解説:Eコマースに関する税務ルーリング解説
税務論点解説:Eコマースに関する税務ルーリング解説
Eコマース」とは、物品の販売やサービスの提供をコンピュータ・ネットワーク、通信システム、電子媒体を通じて行うことと定義されます。
Eコマースビジネスに従事する事業者も、他の事業者と同様に納税義務を負います。タイにおいてEコマースにより収入を得る事業者は、個人・法人に関わらず、また所在地がタイ国内か海外に関わらず、法人税とVATの申告納付義務があります。しかしながらEコマースは、インターネット上でやり取りが行われること、特にサービスの場合は提供地や利用地が明確にとらえにくく、タイでの課税可否判断が難しいケースが多くあります。
①タイ企業が、保有するWebサイト上にて海外の第三者のWebサイトの広告枠を設置し、ユーザーを誘導する広告サービスを提供している。当該広告は海外のユーザーだけでなくタイのユーザーも閲覧可能である。よって「タイで提供されタイで利用されるサービス」として、VAT 7%の課税対象となる
(Ruling No. KorKhor 0706/Por./6172 dated 2 July 2003)
②タイ企業が、アメリカの法人からWebアドレス登録及びサーバースペースのレンタルサービスを受けている。当該サービスは「外国の企業により提供された、タイで利用されるサービス」として、タイのVAT 7%課税対象となる。よってタイ企業がアメリカ企業に当該サービス対価を支払った場合、タイ企業はサービス輸入に係るVAT申告手続き(PP36)によりタイVATを納税する必要がある。
(Ruling No. KorKhor 0706/(KorMor.09)/026 dated 7 January 2003)
③タイ企業が、タイの行政や法制度に関する情報やタイの市場調査結果をe-mailにより海外の企業に提供している。その成果がタイ国外で利用される場合、当該サービスは「タイで提供されタイ国外で利用されるサービス」として、VAT 0%が適用される。
VAT implications of the provision of services email (Ruling No. 0702/Por./4070 dated 27 May 2009)
④タイ企業は、ASEAN地域の経済や投資に関するニュースサイトTを保有し運営している。タイ企業は、タイに支店を有するイギリス企業に、イギリス企業が保有するWebサイトBからニュースサイトTへリンク接続を許可し、WebサイトBのユーザーがニュースサイトAの情報を閲覧可能とする形でのサービス提供をしている。WebサイトBはタイを全世界より閲覧することが可能である。このリンク接続提供サービスは「タイで提供され、タイで利用されるサービス」として、VAT7%が適用される。
(Ruling No. KorKhor 0702/Por.8679 dated 19 December 2008)
(2021年7月作成)
免責事項
本記事は、作成日時点でのタイの法律等改正動向や一般的な解釈に関する情報提供を目的としております。内容については、正確性を期しておりますが、正確性を保証するものではなく、また作成後の法律改正等により最新の情報でない場合もあります。本記事の利用は、利用者の自身の判断責任となり、利用により生じたいかなるトラブルおよび損失、損害に対してMazarsは一切責任を負いません。個別の具体的な案件を進める場合には、事前に専門家へご相談頂きます様、お願い申し上げます。