タイ税務改正動向 : BEPS-移転価格税制-自動的情報交換の開始
タイ税務改正動向 : BEPS-移転価格税制-自動的情報交換の開始
この法律は、OECDの「税の透明性と情報交換に関するグローバルフォーラム」における “共通報告基準 [Common Reporting Standard (CRS)]” に準拠すべく制定されたものです。CRSにおいては、この枠組みに参加する国々の納税者に関する “自動情報交換 [Automatic Exchange of Information (“AEOI”)] が要求されています。
この法律においては、金融機関が”報告者“として納税者の情報についてタイ税務当局に提供することと、その情報を他の国々の税務当局と共有することができる旨が定められています。また、この”報告者“となる金融機関としては、銀行、証券会社、保険会社等幅広い金融機関が対象とされています。
報告対象となる情報としては以下のものがあげられています。
1. 税務長官が指定した、口座に関する情報(名前、住所、税務番号、生年月日等)
2. 金融機関が保有する口座に関する情報(口座番号、残高、利息、保険の内容等)
3. 報告者に関する情報(名称、税務番号等)
当該報告義務の違反に関しては最大200,000バーツの罰金が、また、誤報告に関しては最大500,000バーツの罰金が課せられます。また、記録は6年間保存されなければならず、記録の保管に対する違反に関しては最大300,000バーツの罰金が課せられます。
報告義務者の税務署に対する報告については、翌年の6月までとなっていますが、税務当局によると他の国とのCSR開始が2023年9月となっているため、今年は6月までに報告者よりの情報提供が行われることを見込んでいるとしています。
現在のところ、この法律は大まかなガイドラインを示したものであり、今後、施行細則等が公表されることになると考えられます。
(2023年5月作成)
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本記事は、作成日時点でのタイの法律等改正動向や一般的な解釈に関する情報提供を目的としております。内容については、正確性を期しておりますが、正確性を保証するものではなく、また作成後の法律改正等により最新の情報でない場合もあります。本記事の利用は、利用者の自身の判断責任となり、利用により生じたいかなるトラブルおよび損失、損害に対してMazarsは一切責任を負いません。個別の具体的な案件を進める場合には、事前に専門家へご相談頂きます様、お願い申し上げます。