会計論点解説 :請求済未出荷契約(預り売上)に関する収益認識タイミング
会計論点解説 :請求済未出荷契約(預り売上)に関する収益認識タイミング
請求済未出荷契約は、タイにおいても一般的に行われており、例えば、顧客の商品保管スペースの不足や生産スケジュールにより保管在庫を調整したい場合に使われることがあります。
通常の販売取引においては、販売者は商品の所有権移転が起きた時点で収益認識をすることとなりますが、請求済未出荷契約においては商品の物理的移転がなく所有権の移転がされるため、どの時点で販売収益を計上するのか、判断が難しい面があります。
TAS18 Revenue (収益認識に関するタイ国会計基準) では、このような請求済未出荷契約について、販売者がまだ商品を引き渡していない場合でも、以下の4つの条件をすべて満たした時点で、販売収益を計上すること定めております。
1) 顧客からの要求があれば、いつでも商品の物理的移転可能な状態である。
2) 購入者が購入について書面で同意しており、購入者が事業上の理由で販売者に該当商品の一時保管を依頼している。
3) 支払に関する条件(支払期日等)が、他の顧客と通常の販売契約(請求済未出荷契約契約ではなく、商品販売後、適切な期間内に発送)した場合と同様である。
4) 該当顧客へ商品の物理的移動が可能な状態であり、販売者が当該商品を使用したり、他の顧客へ販売したりすることはない。また、該当商品は顧客が所有しているという認識されている。
なお、TAS18はTRFS(タイ国公開会社向け会計基準)の一部となり、TRFS for NPAEs(タイ国非公開会社向け会計基準)を採用する企業(一般的なタイ日系企業)には、直接的には適用されません。しかしながらTRFS for NPAEsでは、請求済未出荷契約に直接的に言及する基準が無く、またTAS18の請求済未出荷契約に関する規定はTRFS for NPAEsの収益認識基準の概念とも矛盾しないため、TRFS for NPAEs適用企業においても、TAS18と同様の会計処理が適用できると考えられます。
(2019年9月作成)
免責事項
本記事は、作成日時点でのタイの法律等改正動向や一般的な解釈に関する情報提供を目的としております。内容については、正確性を期しておりますが、正確性を保証するものではなく、また作成後の法律改正等により最新の情報でない場合もあります。本記事の利用は、利用者の自身の判断責任となり、利用により生じたいかなるトラブルおよび損失、損害に対してMazarsは一切責任を負いません。個別の具体的な案件を進める場合には、事前に専門家へご相談頂きます様、お願い申し上げます。