タイ税務改正動向:土地家屋税制改正法の公布

2018年11月に土地家屋税の改正法案が国会で可決されておりましたが、2019年3月に公布され、正式に法制化されました。本改正は2020年1月より適用されることになります。また合わせて本改正に関する税務通達も出されています。

改正及び通達の主要ポイントは以下の通りです。

1)  納税義務者

 毎年1月1日時点の不動産(土地及び建物、コンドミニアム等)の所有権又は所有権に類似する使用権(賃借権は含まれません)を有する個人又は法人は、当該年度の土地家屋税の納税義務を負います。

2)  課税標準

 土地法に基づく不動産登記手数料算定のために地方政府が評価した、個別の不動産 ごとの評価額をベースに税額計算が行われます。

3)  税率

 具体的な税率は税務通達により決定されますが、以下に定める不動産用途に応じた 4つの区分の最高税率を超えないものとされます。

土地建物の用途

最高税率

農業用途

0.15%

居住用途

0.3%

その他

1.2%

未使用地

1.2%

 なお、未使用地が3年連続して引き続き利用されない場合、3年ごとに税率が0.3% 増加します。税率は3%を超えることはありません。

4)  改正後の導入期間の軽減税率

 改正法の適用後最初の2年間は以下の軽減税率が適用されます。

A. 農業用途の土地

評価額(バーツ)

税率

1百万~75百万

0.01%

75百万~100百万

0.03%

100百万~500百万

0.05%

500百万~1,000百万

0.07%

1,000百万~

0.1%

※個人所有の場合、最初の3年は免税

B. 居住用途で個人が所有権者として登記されている同一住所の土地建物

評価額(バーツ)

税率

1百万~25百万

0.03%

25百万~50百万

0.05%

50百万~

0.1%

C. 居住用途で個人が所有権者として登記されている建物

評価額(バーツ)

税率

1百万~40百万

0.02%

40百万~65百万

0.03%

65百万~90百万

0.05%

90百万~

0.1%

D. 居住用途の土地建物で、上記B.C以外のもの

評価額(バーツ)

税率

1百万~50百万

0.02%

50百万~75百万

0.03%

75百万~100百万

0.05%

100百万~

0.1%

E. その他の用途

土地評価額(バーツ)

税率

1百万~50百万

0.3%

50百万~200百万

0.4%

200百~1,000百万

0.5%

1,000百万~5,000百万

0.6%

5,000百万~

0.7%

F. 空地または未使用の土地

土地評価額(バーツ)

税率

1百万~50百万

0.3%

50百万~200百万

0.4%

200百~1,000百万

0.5%

1,000百万~5,000百万

0.6%

5,000百万~

0.7%

※税率は3年ごとに0.3%づつ増加し、最大3%となります。

5)  免税点

 一定の個人所有の不動産には、評価額のうち以下の免税点が設定されます。

  • 農業用途の不動産・・・50百万バーツを超えない部分
  • 居住用途で同一住所に所在する土地建物・・・それぞれの評価額のうち50百万バーツを超えない部分
  • 別人名義の土地上にある居住用途の建物・・・10百万バーツを超えない部分

6)  税額計算方法

 不動産の評価額より免税額を控除した金額に、用途に応じた税率を掛け、税額が算出されます。

 複数の用途を持つ不動産の税額の計算方法については、今後通達が発表される見込みです。

7)  納税時期、納税方法

 毎年1月1日現在の不動産の所有者に、2月末までに地方政府より課税通知書が送付されます。課税通知書は、所有する不動産のリスト、それぞれの不動産ごとの評価額、適用税率及び税額が記載されます。毎年4月末が納税期限となります。

 改正後3年間は特例が適用されます。改正により税額が増額する場合は、改正前の税額を期日までに支払えば延滞の対象とはならず、不足額は3年間に分割して支払うことが認められます。

8)  納税不足・遅延に対する罰則

 納税期限を超過した場合、納付すべき税額の40%相当の加算税が課されます。但し、延滞通知書の発行前に自主的に納付した場合加算税は10%へ、延滞通知書に記載された期限内に納付した場合は、加算税は20%へ減免されます。

 上記に加え、納税期限を超過した場合、納付すべき税額に対し毎月1%の延滞税が課せられます。延滞税は最大で納付税額と同額までとなります。

 また、納税未了の場合、不動産の移転登記が拒絶されることになります。

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 (2019年4月作成)

 

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本記事は、作成日時点でのタイの法律等改正動向や一般的な解釈に関する情報提供を目的としております。内容については、正確性を期しておりますが、正確性を保証するものではなく、また作成後の法律改正等により最新の情報でない場合もあります。本記事の利用は、利用者の自身の判断責任となり、利用により生じたいかなるトラブルおよび損失、損害に対してMazarsは一切責任を負いません。個別の具体的な案件を進める場合には、事前に専門家へご相談頂きます様、お願い申し上げます。

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