タイ法務改正動向:BOIの医療関連の新投資恩典、EVその他産業への既存投資恩典の拡充

2020年11月、タイ投資委員会(BOI)は、ターゲット産業への投資や、産業の生産性向上のため、以下の投資恩典(BOIライセンス)の新設・再開・拡充等を決定しました。

1. 高齢者介護および臨床研究事業に対する新たな投資恩典

対象事業

優遇措置

高齢者向けの病院

5年間の法人税免除

高齢者向け介護施設

3年間の法人税免除

医療品開発受託研究機関

8年間の法人税免除(上限額なし)

臨床研究センター

8年間の法人税免除(上限額なし)

   ※  ただし、それぞれいくつかの条件を満たす必要があります。

2. EV (Electric Vehicle) 事業向け投資恩典付与の再開と対象範囲拡充

BOIは2018年まで、電気自動車又は乗用車関連の事業に限定してEV関連の投資恩典を付与していました。本決定により、EV事業向けの投資恩典の再開と、電気オートバイや 電気三輪車その他電気駆動の乗物に関連する事業へも適用範囲が拡大されることになりました。

対象事業

優遇措置

バッテリー駆動の電気自動車(BEV)の製造

【投資額50億バーツ以上】

8年間の法人税免除(研究開発投資への追加優遇あり)

【投資額50億バーツ未満】

3年間の法人税免除(2022年までに生産開始、主要 部品の追加生産、かつ研究開発投資がある等の要件を満たせばさらに優遇措置あり)

プラグインハイブリッド電気 自動車(PHEV)の製造

3年間の法人税免除

バッテリー駆動のオートバイ、三輪車、バス、トラックの製造、

3年間の法人税免除(研究開発を行う場合にはさらに 優遇措置あり)

電動船の造船

8年間の法人税免除

3. IPO(国際調達事務所:International Procurement Office)の再開

タイ製造拠点に原材料や部品等を提供する商社・卸売会社向けの投資恩典であるIPOが再開されます。IPO事業者は、条件を満たす設備の関税や、タイで生産後輸出される製品
向けの原材料の輸入関税の減免恩典が付与されます。

4. その他既存の投資恩典の優遇措置の改訂

  • EVの部品および機械の製造事業の適用範囲に(1)高電圧ハーネス(2)減速機(3)バッテリー冷却システム(4)回生ブレーキシステムの4種類の部品および機械が追加されます。
  • バッテリーの製造事業の、タイ国外で製造された原材料の輸入関税の減免措置は、
    2年間90%減税に改定されます。
  • 2020年12月迄とされていた「生産性向上策」への投資に対する優遇措置(※2)の申請期限が2022年12月31日まで延長されます。なお、本優遇措置は以下の投資に対して適用可能です。
    • 省エネ、代替エネルギー利用、生産効率向上
    • 機械のアップグレード
    • 研究開発及びエンジニアリングデザイン
    • サステナブルデベロップメント(持続可能な開発)

(※2)「生産性向上策」への投資優遇に関するBOI布告リンク 

https://www.boi.go.th/upload/content/Unofficial%20Translation%20-%209_2560_rev_70254_62152.pdf

上記の各種措置は、今後正式なBOI布告により実施される予定です。

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(2020年12月作成)

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本記事は、作成日時点でのタイの法律等改正動向や一般的な解釈に関する情報提供を目的としております。内容については、正確性を期しておりますが、正確性を保証するものではなく、また作成後の法律改正等により最新の情報でない場合もあります。本記事の利用は、利用者の自身の判断責任となり、利用により生じたいかなるトラブルおよび損失、損害に対してMazarsは一切責任を負いません。個別の具体的な案件を進める場合には、事前に専門家へご相談頂きます様、お願い申し上げます。

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