タイ法務改正動向:中小企業取引に関する新不正競争防止ガイドラインについて
タイ法務改正動向:中小企業取引に関する新不正競争防止ガイドラインについて
この規定は、2017年の取引競争法に基づいて制定されたもので、特に中小企業が物品の販売やサービスの提供(含む委託販売)を他社に行った際に、交渉力の劣る中小企業を不正競争から守り、取引の公正性を高めることを目的としています。
本規定の対象となる中小企業については、業種によって以下のように定められています。
- 商品の製造業:従業員200名以下もしくは年間売上5億バーツ 以下
- サービス提供、卸売、小売:従業員100名以下もしくは年間売上3億バーツ 以下
規定では、中小企業との適正な取引条件として支払期間について以下の通り定められています。
- 農産物の売買、加工、製造等:30日以内
- その他一般的製造、商業、サービス業等:45日以内
当該支払い期間は、中小企業からの物品・サービスの購入の際に適用されますが、一方、合理的な理由がある場合には、より長期の支払い期間も許容される場合があるとされています。
また、以下のような行為は不正競争にあたるとされています。
- 合理的な理由なしに合意した支払いの期限を伸ばすこと。
- 60日前の事前通告なしに、合理的な理由なく支払い期間や取引条件の変更を行うこと。
- 取引の一方の当事者である中小企業が不利になる特約等を契約に入れること。
これまで、タイにおいては日本の下請法にあたるような規制はありませんでしたが、今回の規制により中小企業との取引においては、支払い期間の設定等において本規制の適用があるため、売買契約を行う際には注意する必要があります。
(2021年9月作成)
免責事項
本記事は、作成日時点でのタイの法律等改正動向や一般的な解釈に関する情報提供を目的としております。内容については、正確性を期しておりますが、正確性を保証するものではなく、また作成後の法律改正等により最新の情報でない場合もあります。本記事の利用は、利用者の自身の判断責任となり、利用により生じたいかなるトラブルおよび損失、損害に対してMazarsは一切責任を負いません。個別の具体的な案件を進める場合には、事前に専門家へご相談頂きます様、お願い申し上げます。