タイ法務改正動向:ハイレベルのデジタルノマド向け新スマートビザ制度案、既存のスマートビザ取得要件緩和

タイでは、外国人のデジタルノマド(※1)が数多く滞在しており、多くは在タイ企業に所属していないため就労ビザ及びワークパーミットを入手出来ず、旅行ビザでの滞在・ワークパーミット許可の無い状態で就労していると推測されます。
2020年12月、BOIはハイレベルの技術を持つデジタルノマド向けに“スマートビザ(※2)”を発給する制度案を発表しました。優秀なデジタルノマドのタイでの就労に関する違法状態を解消、タイ行政機関や大学・教育機関との連携を可能とし、更なるタイIT技術の発展を目的としていると思われます。

本スマートビザの発給要件概要は以下の通りです。

  • タイ国外の法人と半年以上の雇用契約を結んでいる
  • ハイレベルIT関連の能力・経験、及び職務に関連する学歴(学位以上)を有すること

 本制度案は、今後タイ内閣で検討される見込みです。

 また、上記に合わせてBOIは既存の4つのスマートビザSmart T(高度技術専門家ビザ)・Smart E(企業幹部ビザ)・Smart I(投資家ビザ)・Smart S(スタートアップ企業家ビザ)の利用拡大のため、取得基準を以下の通り緩和しました。

項目

変更前

変更後

スマートビザが申請できる産業分野の追加

BOIが指定したターゲット産業分野に限定される

BOIが指定したターゲット産業 分野に加え、分野を問わずエコシステム(※2) 推進事業や先進素材・3Dプリンタ等の最新技術を利用する事業

Smart E, Smart Tビザの申請可能産業分野の追加

-

Modern businessが追加される(但し現段階では当該分野の具体例、詳細は開示されていない)

支給対象者の給与要件の緩和

最低月給20万バーツ以上の給与支給

最低月給10万バーツ以上の給与支給。但しスタートアップ企業家及び定年退職人材は5万バーツの給与以上

Smart Eビザの資格要件の例外設定

申請職種に関連するA)10年以上の職務経験とB)学卒以上の学歴を必ず有すること

A) B)双方を満たすことを原則とするが、満たない場合でもBOIの裁量により発給可能とする

※1 デジタルノマド:会社事務所などの特定の就労場所を持たず、ノートパソコン等により、Wi-Fi環境のある喫茶店など公共の場で業務を行うIT・Web等のデジタル関連のエンジニア職。多くが特定の企業に所属していないフリーランス(個人事業主)であると想定される。

※2 スマートビザ:BOIのターゲット産業への投資や高度専門知識・経験を有する外国人に、最長4年間の滞在許可と認可された範囲の就労に関するワークパーミットの取得義務 免除等の恩典を付与したビザ。※1 デジタルノマド:会社事務所などの特定の就労場所を持たず、ノートパソコン等 により、Wi-Fi環境のある喫茶店など公共の場で業務を行うIT・Web等のデジタル関連のエンジニア職。多くが特定の企業に所属していないフリーランス(個人事業主)であると想定される。

※3 エコシステム:複数の企業や製品の相互作用によりそれぞれが自然的に発展する 仕組み。具体的事例として、スタートアップ支援・イノベーションキャンプ・コワーキングスペースサービスが想定される。

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(2021年1月作成)

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