会計論点解説 : 非公開会社での売却目的で保有する非流動資産
会計論点解説 : 非公開会社での売却目的で保有する非流動資産
改正された項目の第10章「有形固定資産」を売却目的で保有する非流動資産に適用する具体的方法がTFACから公開されています。
- 売却目的保有に分類された非流動資産は、1) 帳簿価額と、2) 売却見込額から売却に要する費用の合理的な見積額を控除した額 のいずれか低い額で測定し、その減少額を当期の損益として認識する(10.40.1項)。
- 2) の売却見込額から合理的な売却費用の見積額を控除した額の増加による利益は、認識された累積損失を超えない範囲で、損益として認識することができる(10.40.2項)。
- 売却目的で保有する非流動資産は減価償却を行わない(10.40.3項)。
- 売却した場合、売却損益を当期の損益として認識しなければならない(10.40.4項)。
- 売却目的保有に分類された非流動資産は、第4章「財務諸表の表示」4.8項(10.40.5項)に従い、財政状態計算書の表面上、流動資産又は非流動資産として区分表示しなければならない。
例:
2023年1月1日現在、ある会社は帳簿価額480,000バーツの備品を保有しており、取得原価は600,000バーツ、耐用年数は5年である。残存耐用年数は4年で、残存価値はなく、定額法で減価償却される。
2023年6月30日現在、同社はこの設備を以下のとおり売却目的で保有する非流動資産に分類している:
売却見込額から、売却に要する費用の合理的な見積額を控除した金額 | 設備の純簿価 |
THB 440,000 | THB 420,000 |
= THB 450,000(売却見込額)- THB 10,000(売却にかかる費用の合理的な見積額) | = THB 480,000(繰越帳簿価額)- THB 60,000(THB 480,000 x 6ヶ月/48ヶ月の減価償却費) |
2023年6月30日時点、売却目的で保有するこの非流動資産の評価額は420,000バーツ(資産売却時に発生する可能性のある売却価格の合計から売却に要する費用の合理的な見積額z控除した金額より低い正味帳簿価額)である。また、2023年6月30日の分類日時点、減価償却は適用されていない。
よって会計記帳の仕訳は以下の通りになる。
- 2023年6月30日
| 借方(バーツ) | 貸方(バーツ) |
減価償却費 | 60,000 |
|
減価償却累計額 |
| 60,000 |
2023年1月1日から2023年6月30日までの減価償却費を計上 | ||
売却目的で保有する非流動資産 | 420,000 |
|
減価償却累計額 | 180,000 | 600,000 |
売却目的固定資産への設備の分類 |
- 2023年12月31日
会社はこの資産を2024年1月31日に売却した(この資産からの利益は報告期間の12カ月以内に受領された)ため、第4章「財務諸表の表示」の4.8.1.4項に従って、この売却目的で保有する非流動資産を財政状態計算書の表面上、「流動資産」として区分し、表示しなければならない。
- 2024年1月31日
| 借方(バーツ) | 貸方(バーツ) |
現金 | 418,000 |
|
資産売却損 | 2,000 |
|
売却目的保有資産 |
| 420,000 |
売却目的で保有する固定資産の売却計上額 THB 418,000 = THB 430,000(売却価格)- THB 12,000(売却原価) |
(2023年11月作成)
免責事項
本記事は、作成日時点でのタイの法律等改正動向や一般的な解釈に関する情報提供を目的としております。内容については、正確性を期しておりますが、正確性を保証するものではなく、また作成後の法律改正等により最新の情報でない場合もあります。本記事の利用は、利用者の自身の判断責任となり、利用により生じたいかなるトラブルおよび損失、損害に対してMazarsは一切責任を負いません。個別の具体的な案件を進める場合には、事前に専門家へご相談頂きます様、お願い申し上げます。